昨年に引き続き友人のM氏の誘いで、群馬大学の設計課題好評会に参加してきました。
午後からの好評会を前に連れて行ってもらったのが、洋食屋の「芭蕉」。漆喰で覆われていた棟方志功の壁画が、55年ぶりに復元されたことで知られるお店です。
蔦に覆われた外観は一見普通の町屋ですが、玄関から一歩入るとびっくり。トップライトから光が差し込む薄暗い室内は、古材を利用した立派な柱が林のように林立し、微妙なレベル差で仕切られた客席のスペースが迷路のように配置されています。創業者が大工といっしょに作り上げたそうで、所々に設えられた床の間のような場所には、馬をテーマに各国から収集された民芸品が飾られています。
天女と馬の壁画は、エントランスの小さな吹抜の壁面に、トップライトの光を受けて白く浮かび上がっていました。縁があって馬をテーマにした壁画の作成を依頼された志功が、力強い馬の周囲に艶やかな天女を描いたことが、創業者の気に入らなかったらしく、完成直後に漆喰で塗りこめられてしまったということのようです。
55年を経て今は鮮やかさがやや薄れてしまった朱色と青味がかったグリーンが、薄暗い室内にいい具合にマッチしていました。
住所:群馬県桐生市本町5-345
電話:0277-22-3237