みぞれまじりのあいにくの空のもと、翌日も早朝から武家屋敷やにしの茶屋町、近江町市場などを精力的に見て回った後、金沢の郊外、野々市にある喜多家住宅を訪れました。
明治期に金沢市内から移築された建物ですが、以降は造り酒屋として使われ、重要文化財の指定を受けた現在でも隣家にお住まいの老齢の当主夫婦が維持管理にあたられています。
暖簾をくぐり引き戸を開け中に入ると、奥行のある通り土間に導かれます。見上げると豪快な梁組が高い屋根を支えています。湯気が立ち上る様を表現した立涌模様の加賀暖簾がとても現代的です。
代々伝わるという囲炉裏の灰形。受付をされていた奥様にお話を伺うと、毎日欠かさずに描き直しておられるとのこと。床の間に飾られた華といい、磨きこまれた板の間といいご夫婦のご努力には敬服しました。
目に付いた襖の引き手金物。テクスチャーのはっきりした襖紙。
交通量の多い国道157号から鶴来街道を入った静かな通りにたたずむ外観。大きな間口と深い軒を支える腕木が特徴的。下屋の軒裏にある下がり壁は霧除けだそうです。
それにしても荒れる天気。1センチ近いヒョウが降ったかと思うと突然陽がさす変わりやすい空模様。じっくり見学を終え、入れていただいたお茶をいただきながらお話を伺った後、腹ごしらえに金沢港に向かいました。