東京都写真美術館で開催中の写真家Sebastião Salgadoの「Africa」展を観てきました。
1970年代からアフリカでの取材を続けたサルガドのレンズを通して、まだ平和がだった時代の美しい自然と人々の営み、一転して、まだ記憶に新しい民族紛争の悲劇、そして復興への希望が印象的な構図で切り取られた100点もの作品が展示されています。
戦禍を逃れる難民と何千キロという距離をともにし、たどり着いた森で難民たちを浮かび上がらせる木漏れ日。殺戮の場となった教室に横たわる無数の亡骸に、開け放たれた窓から差し込む朝日のやわらかな光。圧倒的な絶望に覆われたシーンが、彼が捕らえる一瞬の神々しい光によって宗教画のような風景と化しています。
光のヴェールに包まれ、共存する狂気と変わらない自然、たくましい生。壮大な物語に引き込まれていきます。じっくり鑑賞してロビーに出るとぐったり。重い真実がのしかかってきます。しかしながら、どんな状況に置かれても輝く子供たちの瞳と、おろかな人間たちを覆いつくす圧倒的なアフリカの自然に希望を見出すことができます。
久し振りに印象深い展示でした。